染められる心地よさ

染色大千秋楽も終わり、正門くんが演じる深馬を落とし込むのにまだまだかかりそうだなと思っていた矢先、配信の決定。

 

いやあ、すごくない???

Jr.だよ?

関西ジャニーズJr.の1人だよ?

 

舞台の配信なんてデビュー組でもなかなかないし、あったとしても限られた人のみ。Jr.で配信してもらったひといるのかな?私の記憶ではいないけどどうなんだろ???(いたら土下座スンマセン)

 

本当に自慢の自担「正門良規」を誇らしく、そしてこの「染、色」を考察という名の感想をただつらつら書きたくなってはてブロを始めました!自分のための健忘録のようなものなのであしからず...

 

まず、なんでこんなに語りたくなったか。

 

私、深馬二重人格とは思ってなくて。笑

いや、1回目はそう思ってたんですけどね?

なんか納得いかないポイントがあって。

 

主な気になるポイント

  • 深馬の首に吹き付ける赤いスプレー
  • 肩車しないと届かないところについたシミを消すシーン
  • そもそもなんで家あんの?(ここが一番気になってる)

 

その中でも深馬が自分が普通であるジレンマを抱え意識が浮いている時に、うしろから真未が首にスプレーをかけるシーン私はとても好きで。キスマークみたいですよね。(癖) 杏奈が汚れてると拭くシーンもなかなか。ほかの女がつけた跡を消すってシゲアキ感強め。

ある意味真未の独占欲というか、自分のものである印のように感じて。それって二重人格の中の別人格がつけられるの?二重人格ってことは体は自分のものだから印をつける必要はないな〜って。

肩車もそう。二重人格ってことは体は一つしかないのに肩車しないといけない位置にスプレーかけられるのか問題がずっと頭にあって。

 

そんな感情の中、腑に落ちたのが初めてスプレーでアートを書き上げた後にタギングを残した時の大喜利、6本目の指のシーン。

「スピゆび」と名付けましたよね?

スピリチュアル、第六感とかけるところであれ?これって伏線???ってなって。

 

真未って幽霊なのかもと。

 

スピリチュアル

[形動]精神的な。霊的な。宗教的な。「スピリチュアルな世界」

 

第六感

基本的に、五感以外のもので五感を超えるものを指しており、理屈では説明しがたい、鋭くものごとの本質をつかむ心の働きのこと。一般にはヒトの視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感以外の感知能力をいう。ヒト以外の動物にみられる視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感以外の感知能力(微弱な電場などの感知能力)を表現することもある。

 

昔、シックスセンスという映画がありましたよね?

eiga.com

第六感という意味ですが、幽霊が見えてしまう少年を癒す精神科医のお話。

ホラーに近いので敬遠されがちですが中身は最後にどんでん返しがあるので映画としてはオススメです。(1人で見るとトイレにいけなくなるので勧めません。笑 いろんなところから覗かれてる気がする)

 

少年は幽霊が見えてしまう特殊能力を持っていることで周りから浮いてしまうようになるわけですが、彼にとっては幽霊は普通に歩いているし見えてる。遊んでいたこともあった。(少し寒くなったり、お腹が痛くなったりするみたいだけど)

 

深馬もそれが見えていたんじゃないかと。真未はあのスプレーだらけの家で暮らし、なんらかの理由で死んだ。むしろ最高傑作を書き上げて死んだのかもしれない。劇中では書き上げることを「死」で表現する。自分の死体を見たかったのかもしれない。事故物件はそんな簡単には売れないし、ましてやスプレーだらけの部屋ゆえ大家さんもそのままにしていたら納得。大家さんも真未も気に入られていたようだし。

 

そして深馬に憑依する形で生きる選択肢を見出したんじゃないかと。きっと真未はまだかきたかった。死ねなかったんじゃないかと。だからこの世にまだ魂だけあるんじゃない?って。

 

深馬がスプレーを隠した後二人で体を重ねるあのシーンを超えた後、深馬のトップスは黒になり、文字通り真未に染められた。憑依しその体を乗っ取った。

 

その後、深馬が真美を忘れようと腕のペンキを拭き取る時、真未は何かから剥がされるような動きを表現してるように感じます。きっとあの時がきっと彼女の居場所がなくなったことを表してるんだろうなと。

 

霊感があるというだけで精神は崩壊するし、それなりの記憶障害も出る。きっとそういう意味で記憶の違いがでてくるんじゃないかというのが私の染色考察でした。

二重人格も確かにあると思うし、むしろそっちの方が濃厚なんだろうけど、どう思います???

 

コンテンポラリーダンスでも二人が一人のような振り付けが多く、憑依的で融合のように感じたし、ダンスの振り付けも素敵だったなぁ〜黒深馬の時は攻撃的な振り付けと一心同体感があるけど、白深馬の時は書き切れる嬉しさを全面に感じてとても嬉しい顔をする深馬くん。ものすごくすき。書く喜びを感じてパァって笑うあの表情を演出してくださった瀬戸山さんに感謝。

 

そして、最後のシーンで真未は白いワンピースを来てオレンジのライトに照らされ、花びらの中にいるラストシーンがなんとも言えない。私はこれを見た時、真未自身が秋の桜だったのではないかと推測しました。

彼女はきっと咲く時期を間違えた桜だったのかもしれない。だけど、とても綺麗で儚い。

でも次の春は咲けないからこその美しさがそこにあったのではないかと。

 

むしろ私の中では真未を秋の桜にしてしまったのは深馬じゃないかと思っていて。きっと手放さず、それを受け入れていたとしたら芸術という点では見事な花を咲かしたに違いない。

でもそれは深馬自身の力ではないことも気付いてしまった。1番辛いですよね。きっとそこの狡さも持ち合わせていなかった。逆に自分の才能の限界に気づいてしまった。あんな切ない声でそれを受け止め杏奈にすがる深馬はなんとも儚く消えてしまいそうに思えた。

 

染、色の「、」について。私は結局真未に染まれなかった深馬のことを書いているように思えました。きっと染まることもできたし、作品と死ぬこともできた。けど結局深馬は普通の感覚の持ち主でそれを「怖い」と捉えた。きっと芸術家としては情熱的な作品が出来上がったとしてもこのままこの感情と一緒に生きてはいけない。

そんな気持ちになったんじゃないかとも思う。

 

染まりきれずに普通に生きることを選択した深馬の気持ちは私には痛いほどわかるし、不幸が美学に取られるような世界で生きるのは普通の人には辛い。

 

そういう意味では加藤シゲアキ先生が正門くんに寄せて深馬を作ってないけど、合う役だったんじゃないかと思えた。

 

配信を見ながら細かい表情まで見えるのは良さだなぁと思ってる。配信になっても正門くんの表現力は素晴らしい!目の演技が1番好き。これからどんどんお芝居で活躍できる人だなと確信を持った。

 

タイミングとは大事なもので、グループ結成時から正門くんは人より「運がいい」と言ってきた。

 

確かにこの舞台は1年延期になった間に作者である加藤シゲアキくんの賞受賞、主演である正門くんはグレショーで舞台に対してのスキルアップがめざましかった。

緊急事態宣言の最中に東京公演は前一列以外は満席。大阪公演初日の4日前に緊急事態宣言の解除で一般発売したのち満席での大千秋楽。

誰一人キャストがかけずここまで来たこと本当にすごいことだと思う。

配信だって一年前だとここまでスムーズに行ってないかもしれない。

 

この「染、色」という舞台は全てのものが整い最高のタイミングで出来た素晴らしい舞台だと思う。

 

脚本の加藤シゲアキさん、演出の瀬戸山美咲さん、正門くん、キャストの皆さん、スタッフの皆さん。

素敵な舞台をありがとうございました!

今まで見てきた舞台の中で後から味わうということを体感できる舞台に出会いました。いつかまた何年後かに同じキャストで再演されることを願って。